- 2008, installation
- wood-print, RGB-paint, ink-jet-paper, A0, 50m*2
光を実体的に捉え, その存在そのものを記述する. 暗闇の空間で化学発光によるRGB絵の具を空中に散布し, 形成される身体的に干渉可能な光彫刻を, 押し花のように地面の紙に定着させる.
この作業を空間一杯に展開させた(20m*2本)紙の端から順に一日かけて行う. RGB絵の具の化学反応を起こすエネルギーがつきると(この場合は2~3時間), 発光しなくなるため, 記述した端から順に消えていき, 光の痕跡がわずかな蛍光塗料とシミとして残る.
光彫刻は, 実体化とともにすぐ空中に拡散する, 刹那的なものである.
また視覚的にも明確に形状把握できるものではない. 最終的にシミとなることな
ど, 知覚の極限状態でのみ作品として成立する.
プロジェクト"__cycle"は, デジタルメディアの出力をメタ的に考察するものである. _process&_instantのバイオディスプレイ制作から始まり, ver.1では, 化学発光する微小な光の粒を紙に定着させた紙ディスプレイを制作・展示している. 視覚や聴覚, その他のデジタルメディア出力も, 欲望のままに高解像度化を加速させ, ディスプレイにいたっては紙の域に達するだろう. それが生活に浸透し交代する, 現在の mail と email のような関係は, ディスプレイに限らず, あらゆるメディアで起こりうる. その都度, 情報と通信の重要性を再考する必要がある. 人間が何かと接するということは, 情報をやりとりすること, つまり様々なレベルでのコミュニケーションである. それそのものが思考システムの一部であるため, コミュニケーションの変革は, 人間の変革といっても過言ではない.
__cycleは, 新たなメディアによって創出されるコミュニケーションを表現としている. 闇の中で, 空中に浮かぶ光の霧が, 温度や体験者の動きといったそこにあるものの情報を取り込み, 次々と紙に記述され, 消えていく. 聴覚や触覚, 嗅覚は鋭敏になり, 体験者の振る舞いは, やがて"意味のない表現システム"に適応しだす.
*RGB絵の具=化学薬品を調合して作った加法混色の発光液体